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舞台裏に魅せられて:作品を支える機材&取り組み

壊れていた自転車のチェーンカバーがついに直りました。宴です。
1年から乗り続けて4年目に突入した宴's チャリですが、つくば-東京を往復したり山登りをしたりで走行距離をガンガン伸ばしており、あちこち修理を重ねて現在に至っています。
卒業まで最低でもあと1年は乗る予定です。もう少し頑張ってくれ……

さて今回のブログ、ノイの機材や道具に隠された秘密をご紹介したいと思います。
学内外を問わずあちこちを飛び回って公演をしているノイですが、筑波大の劇団サークルとしては最も小さい団体です。舞台設営や上演に使う道具を改良し続け、少ない人数でも公演が打てるよう様々な取り組みをしています。


この記事を書いている宴(情報メディア創成学類4年)は、何を隠そう機材や道具が大好きで、メンテナンスや改造をしまくってきた張本人です。個人視点でなにを書いてもいいって言われた(言われてない)ので、今回はちょっとコアな内容でお届けします!わあい!

【目次】
  • 【もっと速く簡単に】舞台装置
  • 【より綺麗に、より手軽に】音響・照明
    • ホールの環境に近い照明
    • オペレータの人数削減
  • まとめ
  • <ちなみに>やっぱりすごいプロの技

【もっと速く簡単に】舞台装置

劇団系サークルの多くが単管と木板で組まれた舞台を作るなかで、大量の幕でできたノイの舞台はある意味特徴的です。背景となる大きな幕(大黒)や、役者を隠す袖幕などを並べます。

「おとしもの」より(@筑波大学中央図書館 / 2019)

「Compass」より(@学内教室 / 2020)

この幕は、かつてはプラスチックの軽量パイプを組み合わせて作っていましたが、いくつか短所がありました。

  • (枠が歪むので)寝かせて作業する必要がある
  • 自立しないので椅子などで補助しなければいけない

出張公演では意外とこれが響きます。設営はたいてい2時間で済ませなければならず、また輸送力も限られているため、できるだけ少ない物量で速く組み立てられるようにしたいな〜という思いがありました。

プラスチックパイプ型の設営風景(@学内教室 / 「トーラス」より、2018)

こうした中で、2019年に自立するスタンドを使う方式が生まれました。立てた状態で設営できるので仕込みが速くなり、また3m近い巨大な幕を立てることも可能になりました!わーい!

この方式でも、「部品の多さ」や「ロープワークを覚える必要がある」などの短所があると思っています。引き続き改良を図っています💪




【より綺麗に、より手軽に】音響・照明

ノイは音や光の機材も自前で所有しています。学内の劇団・音楽サークルは大学から機材を借りることが多いですが、ノイは2018年ごろから機材を揃え始め、今は自前の機材だけで公演を打つことが可能になりました。えっへん。

ホールの環境に近い照明

特に注目して欲しいのが照明の高さです。一般的なホールの舞台は床に対して35°〜45°の角度で前明かりをいれるようになっており、ノイもそれに合わせて3m超のスタンドを使っています。 
大学の教室では天井がこれより低いことが多いので、照明をきちんと見せたい公演は、天井が高い会場を探します。

「おとしもの」会場のようす(@つくば市民ギャラリー / 2018)

「おとしもの」会場のようす(@筑波大学中央図書館 / 2019)

オペレータの人数を減らしたい

また、ソフト面での改良にも取り組みました。

人数の少ないノイには、音響・照明操作に入るスタッフを増やすと、キャストの人数を削ってしまう悩みがあります。これを改善すべく、2018年からの一部の公演では、音響と照明を自動化して一人で操作できるように改めました。

照明機材がデジタル制御になり、無線で操作できるようになったのが大きな変更点です。制御用の機器やソフトウェアは、求められる機能があまりにニッチになりすぎたため、自力で作りました。情報学群生でよかった……!

「おとしもの」(2018〜2019)で利用した時のソフトウェア画面。

  • 音照をまとめて1人で操作できるようになった
  • スタッフの稽古時間が少なくて済むようになった(=普段サークル以外で忙しい団員もスタッフにできるようになった)
  • 配線が少なくなり、設営が速くなった

このシステムの導入で、2019年末にはさらに、「出演している2人のキャストが、上演中の音照の操作も全てやる」という、2人完結作品が誕生しました。キャストは、キッカケのタイミングでボタンを押すだけで音を鳴らし、光を変えることができます。

これも今後、扱いやすさや確実性などを改善していこうと思っています。

使っている照明機材たち(照明の試験建て込みにて)。
ライブなどでよくみるムービングヘッドが実験用に吊られています

そして最後に、これらの機材は全て1台の自動車で運んで公演地に向かうことができます。小さな公演の場合は、キャストまで全員1台に積んで移動することも。コンパクト!

公演先から大学に帰ってきて、倉庫への搬入を終えたあとのひとコマ
(電車移動したキャストチームがプリンを買ってきてくれました🙌)

まとめ

ゆるふわジャンルに見える「人形劇」ですが、裏方では、想像を超えるいろんな技術が取り込まれ活きています。 客席からこそ見えないものの、作品の世界をこっそり支える舞台裏の技術って、すごくかっこいいと思うのです。

今後もどんどん新しい技を得て、もっとすてきな舞台を作っていきます。ぜひノイの舞台をみにきてくださいね!(あと、技術に興味のある人の入団もお待ちしてます!)(重要)


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<ちなみに>やっぱりすごいプロの技

ノイのいろんな取り組みをご紹介しましたが、これらはノイと交流があるプロの劇団の技を参考にしたものが多いです。
毎年夏に参加する「いいだ人形劇フェスタ」で指導をいただく「人形劇団むすび座」(名古屋市)の機材の写真がいくつかあったので、少しご紹介します。

大黒幕がケタ違いに大きいです。ぱっと見ですが幅は7m、高さは4m近いのでは……?驚くことに2本の柱だけで自立しています。

画面のいちばん左側にあるのが大黒幕

あの大きな幕が解体するとこれだけになります

他の袖幕類は主に木でできており、ネジを外すと1本の棒になってコンパクトに収納できます。何度見ても謎技術です。いつか自力で作ってみたい。






また照明は、先にご紹介したようなスタンドでの公演もあります(ここでは天井の設備照明は使わなかったようです)。実際にこの公演を見に行ってきましたが、専門ホールに比べるとはるかに少ない灯数であるものの、決して見劣りしない上手な使い方がされていました。すごい。



当たり前ですがプロの技術はハイレベルです。こういう技や工夫が大好きなので、ついつい見てしまいます。今後もいろんな技を覚えて活かしていきたいな……💪

ノイの照明スタンドと一緒に楽しそうな宴(筆者)

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長めの記事になってしまいました。最後までありがとうございました。
次回の記事もお楽しみに!宴でした✌️

コメント

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